2008年06月09日 週間ビル経営

第22回ビル経営サミットin関西

現場の最先端を走るパネリストが熱く討論



成田(本紙記者コー ディネーター): 市況 が低迷する中、自社が 保有するビルをどのよ
うに活性化し、収益を 生むようにするかは、 目下の検討課題と思わ れます。今回のパネル
ディスカッションは 「ビルオーナーによる 資産価値向上、次の一 手」と題しまして、ビ ル経営に携わるパネリ ストの皆さんにご登壇いただいております。
では、まずは自己紹介をお願いいたします。
近藤:近藤建設工業は グループ内でPM業務 を行う近藤プロパティ、ケイエスコミュニ ティなどの各社を有し、京阪地域で一体経営を行っています。当社の特徴は、建築、管 理、テナントリーシン グ等の業務を、社員全員がトータルで行っている点と、自社でもビル経営を行っているため、オーナー側に立った提案を行える点にあります。不動産の様々なケースを体験しておりますので、少しは皆さんのお役に立てるかと思います。
北端:当社は西天満にオフィスを構え、破産管財物件や競売物件の再生と売却、収益物件投資や相続のコンサルティングなどの業務を行っています。ここ半年から1年ほど、当社に寄せられる相談の件数が少し増えてきたような実感があります。
現況の景気は芳しくなく、原材料費は上がる、経済の先行きは不透明、今後は小子化に拍車がかかるなど、経済的な様々な数字はよくありません。当社も小さいながらビルを保有しておりますので、我々のアイディアが参考になればと思っています。
岩城:当社の設立は平成4年です。バブル時代は売買ビジネスが隆盛を極めていましたが、当社ではストック型の不動産経営に着目し、PM事業を基軸としたビジネスの展開を始めました。税理士とタイアップして、相続対策を念頭に置いたPM事業を行うなど、他社事業との差別化を図てきました。
成田:パネリストの皆さんは、大阪の市況をどう捉えていらっしゃるのでしょうか。
近藤:皆さんがおっしゃる通り、景気が悪く、元気もないと思います。積極的な売買がなく、テナント側も大幅増床することはない。ロケーションリスクも高まっています。不動産は、一度竣工すれば60年以上長持ちしますので、オーナーには竣工から30年経ってはじめて喜んでもらえるような、将来を見据えた開発提案を行うようにと社内で話しています。
これから厳しい時代になりますし、オーナーも自らが賢くならなければなりません。保証会社も倒産すれば終わりです。
北端:不動産に対してファイナンスがつきにくくなっているように感じます。金融機関と不動産は常に共にありますので、オーナーは金融機関との付き合い方を考えていかなければならない時期でしょう。ビルの立地は動かしようのない条件ですし、また大阪市況全体が厳しいのであれば、経営者がアイディアを出していく必要があります。
成田:岩城社長はPM業務のほか、ビル経営や開発も行っています。オーナーとのお付き合いが広いと思いますが、そのダイレクトな声を受けてのビル市況の考えをお聞かせください。
岩城:不動産は過当競争の只中で、オーナーは今一番テナントリーシングに悩んでいるのでは。空室対策には、オーナー自身が関西の市況を勉強し、他社にない特徴を自社ビル作り上げることが強みになります。
若干の工夫、低コストでできる特徴で差別化をはかり、効果的なリーシング方法でテナント開拓の方針を立てるのが良いかと思います。新築ビルのみが勝ち組になるのではありません。自分の資産をどれだけ愛し、理解しているかによるので
す。
成田:空室対策のため、ハードの部分をより魅力あるものにしようと思ったら、リノベーションや設備更新が必要だと思いますが、いかがですか。
近藤:リノベーションをすれば、一気に入居が決定し賃料も大幅に上がると勘違いされている方も多いと思います。そうではなく、テナントに喜んでもらい、長く入居してもらうために行う、という考えのもとで行ったほうが良いでしょう。ただ、リノベーション工事に大きな投資をしても、収益に大きく返ってくることは少ない。
テナントニーズを汲み取り、ピンポイントで改修した方が効果的です。
北端:空室対策は頭を悩ませます。ソフト面からも、テナントに長く入居してもらえる雰囲気にすることが必要でしょう。ビル管理にシルバー人材を活用する会社がありますが、当社はあえて30代?40代男性にビル清掃等を行ってもらいます。清掃だけではなく、サービスの面からも付加価値をつけ、更に設備管理や設備設置、家賃督促に賃料値上げ交渉までやってもらっています。
せっかく現場にいるのですから、各社と協力して極力合理的な働き方をしてもらい、そこから最大の結果を出せるようにしています。
岩城:当社は社内に設計デザイン専門の社員を抱えておりまして、彼らの知恵と不動産仲介会社と相談を行いながら、経営者がどのようなビルを望むのか想定します。そしてビルを買う前からコンセプトを考えて、開発に着手するようにしています。テナントにニーズを汲み取り、かつローコストでビルに特徴づけられるような開発、そしてコンサルティングを行っていきたいですね。

 

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