2009年11月25日 月間宝島 掲載

“返せなくなくなったらどうなる?”
〜実録 住宅ローン怖い話〜

P36〜37

「返済滞納で困った!」時の銀行の住宅ローン相談最新調査

もはや社会現象にすらなりつつある、マイホームローンの滞納者激増。新聞やテレビでは大手都市銀行の相談対応強化が報じられているが、将来の不安に恐怖するローン破綻者にとっての現実は、そう甘くなさそうだ……。

滞納後の相談はNGリスケにも応じず

「これほど住宅ローン破綻が激増していますから、おそらく金融庁から指導とは言わないまでも、窓口対応についての通達はあったと思います。銀行も『相談受けますよ』とウェルカムの姿勢を見せだしていますが、"劇的に"窓口対応が変わったとはとても思えない」

と語るのは、「住宅ローン救済センター」を運営する任意売却コンサルタントの北端秀行氏。

実際小誌では大手各都銀に対するアンケート調査およびHPの詳細チェックを行ったが驚いた。
なんとアンケート協力を快諾したのは、東京三菱UFJ銀行と、みずほ銀行のみ。また全行の
HP上で、住宅ローン返済が滞りそうな顧客に向けての相談コーナーや窓口は、ほとんど存在しなかった。見えてきたのは、金融機関側の建前と本音である。

「たとえば既に滞納をしてから相談に訪れた場合、そこからの引き直し(返済条件変更)などは、話題にも上らな いことが多い。実際、引き直すといっても、通常相談から手続き、最終的に変更が通るまでに1〜2ヵ月かかるのが通常ですし、金融機関からすれば3回滞納した時点で債権を保証会社に移行するのが流れ。つまり、滞納してから来ても、もう遅いんです。
また、相談は通常、融資課の担当が対応するが、借り入れ時の担当者や支店長がその支店にいることはほとんどない。まったく初対面の担当者が説明をしてくれるワケですが、そこで親身に話を聞くのと、機械的に対応するのとでは、最終的に至る結論が任意売却なり競売だったとしても、心証がまったく違うんです。顧客満足度を考えるのであれば、それなりの対応をして欲しいと思いますけどね」(北端氏)

 

そんな残酷な現状の中でも、金融機関によって状況は異なる。まずF氏が優秀と判断するのは、三井住友銀行と東京三菱UFJ銀行。前者はSMBC信用保証株式会社、後者はMUフロンティアが保証会社としてついているが、曰く「この2社の保証会社は住宅ローンの債権処理について特化し、集中して取り組んでいる印象が強く、比較的スムーズに顧客と一緒に考えていける傾向にある」とのことで、比較的債務者の心証も良いとか。UFJは小誌取材に「リスケジュール許容基準の弾力化を順次実施」という心強い返答もくれた。

実は今回小誌のアンケートに回答したUFJ、みずほ、そして不回答ながら北端氏の評価のある三井住友は、これまで新聞や他誌等の記事でも個別の対応を発表している。となれぱ、「りそな銀行など、この三行以外がやはり対応に出遅れた感があるのは否めない」(北端氏)。 急増する競売、二大都市に見るその「傾向と実態」
全国で急増する競売物件。東京と大阪も例外ではない。
この2都市では、どんな地区で競売が多いのか。
そして、そこから見えるものは何なのか.知られざる競売市場の実態もあわせてリポートする

競売物件が急増する背景を、ワイズ不動産投資顧問代表、山田純男氏が解説する。

「2007年秋ごろから申立件数が増えてきたのですが、サブプライムローン間題でさらに増加に拍車をかけました。特徴的なのは、全体に占めるマンションの割合の多さ.数年前はマンション、戸建ての割合は半々ぐらいでしたが、昨年はマンションの割合が68%にまでなりました。

その一方で需要も拡大しており、昨年下期、落札1物件あたりの入札本数は5・36件だったのが、今年下期11・12件まで急増しています。人気物件ともなると、60〜70本も入札があるくらいで、市場が沸騰している状況です。新築物件の供給が減少し、また開発資金への融資が滞る中で、中古マンションは売れており、再販売目的の業者が積極的に入札しているという事情があります」

所得レベルの差がそのまま競売に表れる

需給ともに増加し、急拡大している競売市場。では、どんな地域に物件が多いのか。
東京と大阪で物件数の多い地域を調べてみると、現在の不動産市場の構造が見えてくる。

「東京で昔から多いのは、足立区などの城北地区.所得レベルの低さがそのまま高い破綻率となって表れています。東京で安い新築マンションを買おうとすると、どうしてもこのあたりの地域になってしまう。その上、無理なローンを組まざるを得ないとなると、破綻へとつながっています。
新宿が多いのは、投資用マンションや商業用不動産など景気の変動を受けやすかったり、投機性の強い物件が多いため。逆に杉並区など高級住宅地は競売物件数も少ないという状
況があります」(同前)

では、八王予が都内1位に来るのはなぜか。「不動産競売格付センター 981:jp」を運営する不動産競売流通協会代表理事、吉村光司氏は次のように指摘する。
「八王子などの東京都下は都心部と比較して地価の下落が激しかった地域です。都心部は人気があるので競売前に任意売却で落ち着きますが、東京都下は不動産業者や個人に任意売却の意欲がなく、そのまま競売になっているケースが多いと考えます」

日本第二の都市・大阪はどうか。HP「住宅ローン救済センター」を運営し、近畿地方の任意売却物件に強いF・P管財代表、北端秀行氏が言う。
「大阪で競売件数が多かったのは、中小零細企業やものづくり、繊維関係の企業が集積している地域、およびその近隣のベッドタウンです。地場産業が斜陽産業であると如実に競売件数が多く、景気の悪化、地域経済の停滞がそのまま住宅ローンの滞納に繋がっていることが読み取れます」

過熱感のある都心部とは違い地方はまだまだ供絵過多。
消費者にとっては、競売は物件を安く買うチャンスでもある。

「私なら安く品質がいい割に入札倍率も高くない地方の戸建て物件をお勧めします。特に駅から少し離れた物件は非常に安い。市場価格1500万のものが300万〜500万円で手に入るというケースもある」(前出・吉村氏)

最近は制度や関連サービスも整備されてきた競売市場。
この機会に勉強を始めてみるのも手かもしれない。

 

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