会社更生

会社更生について

株式会社のみが対象の再生手続きです。
債権者や株主、その他の利害関係のある人々の利害を調整しながら、会社の事業の維持更生を図ることを目的としています。2003年に全面改正された会社更生法にしたがって、裁判所の監督のもと、裁判所が選任した管財人(更生管財人)により企業の再建を図っていきます。
一般債権者のみならず担保権者や株主も対象として、広く関係者の利害調整を行います。企業の消滅が社会的にも影響を及ぼすような場合、債権者数が多く債権額も大きい大規模な会社でとられることが多い再生方法です。

会社更生の手続

会社更生の手続き


裁判所へ再生手続開始申立がなされると、裁判所より保全管理人が選任、債務の弁済禁止などを内容とする保全処分命令の発令がなされます。保全管理人は、更生手続開始の原因の審査を行い、事業を継続しつつ財産の調査を行って更生の見込みを裁判所に提出します。裁判所が再生の見込みがあると認めた場合、更生手続の開始を決定します。
※更生手続開始の要件:
(1) 破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき
(2) 弁済期にある債務を弁済すれば、その事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるとき(会社更生法17条)

開始決定の後、一人〜数人の管財人が選任されます。管財人は、旧経営陣から経営権や財産の処分・管理権の移譲を受けます。その間、更生会社の事業を継続しつつ、債権届出・調査・確定など債権調査手続や財産目録・貸借対照表の作成など財産状況の調査を行い、今後の事業計画・弁済計画をまとめた再生計画案を作成して裁判所に提出します。

この更生計画案に基づいて、決議のための関係人集会にて、権利の種類ごとになされる決議で承認され、裁判所がこれを認可決定すれば、更生計画として発効されます。
※更生計画の決議:
更生債権者の組では議決権総額の2分の1超、
更生担保権者の組では議決権総額の3分の2以上(計画案の内容によって異なる)の多数で承認されます。

会社更生のスケジュールは、申立をしてから、開始決定、更生計画案の提出の後、更生計画の認可決定がなされるまで、おおよそ1年〜2年かかるというのが一般的です。


会社更生の特徴

1. 経営者と株主は地位を失います

会社更生により、経営権や財産処分・管理権は、管財人に移ります。さらに更生計画案において新経営者が選任されて、従来の経営者は地位を失います。また、更生計画案において定められた100%減増資が行われる結果として、従来の株主も地位を失うことになります。

2.否認権制度があります

公正な手続を確保するための制度として、管財人は、更生会社が更生手続開始前に行った債権者に損害を与える一定の行為について、その法的効力を否定でき、減少した財産を回復することが可能です。

3.担保権の行使ができなくなります

担保権評価相当額の返済を受ける代わりに担保権の行使ができなくなります。(更生会社の再生に担保権を消滅させることが必要と認められる場合)

4.従業員の雇用が維持できます

雇用関係は継続可能ですので、従業員の雇用が維持できます。(未払賃金についても一般優先債権として支払いは可能)ただし、再建にあたる過程では一層の合理化・スリム化は不可避であり、リストラの一環として解雇となる可能性もあります。

5.再建調査・確定制度があります

債権者が届け出た債権については、管財人が認めた債権のみが更生債権・更生担保権として認められます。

民事再生との違い

民事再生=再生債務者の再建を迅速に図ることが第一目的
:原則として資本構成や会社組織の変更を含めていない。
また担保権者の担保権行使に原則として制限がない

会社更生=広く関係者の権利調整を行い抜本的な再建を図ることが第一目的
:更生手続の中で経営者や株主の交代を余儀なくされ、担保権者の担保権行使にも制限があります。 また、更生手続は手続が厳格複雑であるのに対し、民事再生は手続が比較的迅速に可能で、会社更生に比べて、短時間に行うことができます

会社更生(DIP型)

DIP(Debtor in Possession)型会社更生とは、従来の経営者や株主が地位を失い、時間を要する会社更生法の適用が減少し、民事再生法の適用が増加したことに伴い、導入された変形型の更生手続です。
破綻企業の経営陣が退陣せず、更生計画などに関与できる点が大きな特徴です。

DIP型会社更生のメリット

  • 1. 従来の経営者が、管財人に就任して会社再建にあたることができる
  • 2. 従来の経営者が続投することにより手続が効率的に進み、迅速に再建ができる

担保権について更生計画の定めるところによって権利が制限される点については従来型の会社更生法と同じです。

DIP型会社更生のデメリット

管財人である経営者と債権者との利益相反が起きやすい

DIP型会社更生の要件

(1) 主要債権者の同意があること

(2) 現経営陣に不法行為等の違法な経営責任がないこと

(3) スポンサーとなるべき者がいる場合にはその了承があること

(4) 現経営陣の経営関与によって会社更生手続の適正な遂行が損なわれるような事情が認められないこと

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