上記は2008年のデータですが、クレジットカードや消費者金融などを利用して返済困難に陥り、
月々の支払いに頭を悩ませている方の数は数百万人に及ぶとも言われています。
多重債務に陥った人たちの多くは、債権者からの取り立てを恐れて借金を返済するために、
また借金を繰り返すような場合が多く、そのような状況は長く続けば続くほど
より返済も難しくなり、心的なストレスも過大なものとなってゆきます。
自己破産はそういった借金超過で苦しんでいる人を救済し、再び立ち直るチャンスを与えるために国が作った制度です。また、平成17年1月1日施行の新破産法により自己破産制度は今まで以上に利用しやすくなりました。
自己破産は、原則として破産の決定を受けた時点での自分の財産(生活するのに必要なものを除く)を失う代わりに、すべての債務が免除され、破産宣告以後の収入や新たに得た財産を債務の弁済に当てることなく、自由に使うことによって経済的な更生を図っていこうという制度になります。
自己破産で支払えなくなった借金の責任を免除すると言う意味です。 つまり借金がチャラになると言うことです。 自己破産制度は、破産手続と免責手続の2つの手続を経てはじめて意味のあるものとなり、 逆に言えば、免責が許可されない場合は、破産者として身分が続く上、借金も残ったままとなります。 (自己破産の免責不許可事由)
自己破産を申し立てるには、自己破産をするための要件を満たしていなければなりません。自己破産をするための要件とは、借金をどうしても返せない状態(「支払い不能」の状態)であると裁判所が判断した場合になります。
「支払不能」の状態とは、申立人の「財産・信用・労力・技能によっても金銭の調達が困難」であり「将来的にも継続して返済できない客観的な状態」であるということが必要で、裁判所が総合的に判断します。
画一的な基準はなく、あくまでも個々の状況により判定されるので、まずは専門家に相談しましょう。
「支払不能」の状態であると判断しがたい場合は「自己破産」ではなく、任意整理や個人再生を検討する必要があります。
債務者が支払不能の状態にあるかどうかは、借金の総額や債務者の収入がいくら以上、いくら以下といった画一的な数字の基準があるわけではなく、借金の総額、債務者の財産や収入、借金の経緯によって総合的に判断されます。 あくまでも個々の状況により判定されるので、たとえ借金総額が100万円程度であっても返済能力がないと判断されれば支払不能となりますし、500万円であっても支払不能とならない場合もあるということです。
自己破産を行えば、全ての債務について公平な手続きを行うことになります。
例えば、住宅ローンや保証人が付いている債務だけを除いて自己破産の申し立てはできません。
住宅ローンがある場合に自己破産の申し立てをすればマイホームは処分されてしまいますので、
住宅ローンを支払い続けながら(マイホームを守りながら)借金を整理したい場合には民事再生を選択することになります。
また、保証人が付いている債務がある場合に債務者が自己破産した場合は保証人に対し請求がいくことになります。
なお、所有している財産(不動産、自動車、有価証券、生命保険など)は原則としてすべて処分の対象になってしまいますので、どうしても手放したくない財産がある場合や、自己破産をしてしまうと業務停止になってしまう資格で仕事をされている場合には、他の債務整理の方法(特定調停、任意整理など)を選択しなければなりません。
また、ギャンブルや浪費によって借金を作ってしまった場合には免責が受けられない可能性がありますので、専門家に相談して他の債務整理の方法(特定調停、任意整理、民事再生)も考慮に入れて考えていくことになります。
下記の場合は、破産宣告を受けても、免責不許可事由に該当し、免責不許可として借金および破産者の受ける不利益は残ることになってしまいます。
免責決定がなされると、税金・損害賠償債務・養育費など一部の支払い義務を除いた借金の支払義務が免除されて破産申立以前の状態に戻り法律的な制限から解放されます。これを復権といいます。但し、ローンやクレジットなどの利用はできません。 復権すると次のような事が可能になります。
自己破産には、「同時廃止手続き」と「管財事件(異時廃止事件)」があります。どちらに該当するかによって、費用や期間、破産による制限などが異なってきます。
破産申立時にめぼしい財産がないことが明らかな場合。
破産管財人を立てることなく、破産手続を開始と同時に終了させます。
手続きが早く費用も低額ですみます。
不動産や自動車など一定の財産がある場合、破産管財人が選任され、破産者の財産を調査・管理し、 債権者へ対して債権に比例して配分を行い、破産終結の決定がなされます。 異時廃止の場合は破産管財人の費用が必要になり、免責・廃止決定までに時間がかかります。 また、次のようなケースは管財事件になる可能性があります。